他人に見られることのない日記帳としてのステガノグラフィ

(KIT ステガノグラフィ研究グループ)


世の中には毎日欠かさず日記を付けておられる方も多いと思います。中には 「何れは公開・出版する」 ことを前提にした日記もあるでしょうが、大部分は、「他人には絶対に見られ たくない内容」 を綴ったものでしょう。

暗号技術を使えば 他人に内容を見られないようにすることは可能です。しかし、暗号は一般的に煩雑さを伴いますし、更に、「秘密の内容を暗号日記としてを書いている」 という ことが他人に漏れてしまう危険性もあります。

Windows パソコンでは、任意のフォルダーを暗号化して、他人にそのフォルダー内を見られないようにすることは可能です。しかし、暗号化した秘密データを他のパソコンなどに移し替えようとすると 、暗号が解除されてしまいます。さらに、OSのトラブルが発生すると、2度とそのフォルダー内のデータを復元することが出来なくなる場合があります。今使っているパソコンが永久に長持ちするものであれば、Windows での暗号化は十分有効ですが、どのパソコンも必ず故障します。

このような場合にこそステガノグラフィの出番です。特に、埋込容量の大きい BPCS-Steganography はその特性が活きてきます。

例えば、下の画像 (A) は 3,000x1,800 画素からなる 8,694,810 バイトの PNG形式カラー画像ですが、私たちが開発した Qtech-HV プログラムでは、この画像に埋込可能なデータ量(Complexity threshold=40の場合)が、7,700KB 程度です。もし、日記を一日当たり、平均 3KB のテキストファイルとして書いていくものと仮定すれば、2,500 日分以上の日記を秘匿できます。実際には、テキストファイルの埋込時の圧縮率 (データ量が半分程度になる) を考慮すると、およそ14年分の日記をこの一枚の画像に秘匿することが可能です。 実際の操作は、昨日までに書きためた日記文の全体を、昨日埋め込んだ日記帳(すなわち Stego 画像)から抽出して、今日の分を追加し、その全体を再び日記帳に埋戻すことを繰り返します。埋戻すときの容量は (Complexity threshold を一定に保つかぎり) 常に初日と変りません。

(B) は、日記文ではありませんが、英語/日本語が混在する6種のテキストファイル(総計 16,000,004 バイト)を、(A) に埋込んだ後の PNG形式画像です。画像サイズは 9,576,387 バイトに増大しています。埋込まれたテキストファイルは、Qtech-HV011/02 を用いて Access Key 無しで抽出できます。

(参考) このページの説明文の最初 (世の中....) から、この一つ前の行の最後 (...抽出できます。) までのテキストサイズは、1.94 KB です。)

 

 (A) Vessel Image   (B) Stego Image
 
(Download this image)   (Download this image)

(Back to Home)

(最終更新日:2015,01,26  河口英二)